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もし、あなたがワットプラゲーオ注2)
に行って、エメラルド仏注3)を見てきたなら、
次に「大寝釈迦仏」があるワットポーにも行きたいでしょう。
というのは、二つの場所は近いからです。
大寝釈迦仏は、大きさ、長さともにタイ国で一番です。ワットポーは、
ターテイアン注4)
にあり王宮の近くでもあります。
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あなたが、地名「ターテイアン」を聞いたとき、そこは木やその他何もない
ところを考えるでしょう。
「ター」という語は日本語に訳すと「船着き場」、「テイアン」は
日本語に訳すと「本当に何もない」となります。
ターテイアンは、チャオプラヤー川に面しているので、木々が生い茂っているべきです。
でも、あなたがターテイアンに行ったとき、なぜ木々を見ることができないのか、
それは、以下の面白い物語があり、語り継がれているのです。
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昔々、ヤック注5)が2匹いました。
一匹の名前は、「ヤックワットポー」といい、もう一匹の名前を「ヤックワットジェーン」注6)といいました。
ヤックワットポーは、ワットポーに住みワットポーで働いていました。
ヤックワットジェーンも、ワットジェーンに住みワットジェーンで働いていました。
ワットジェーンは、チャオプラヤー川の対岸にありました。
2匹のヤックは、親友同士でした。
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ある日のこと、ヤックワットポーはお金がなく、川を渡ってヤックワットジェーンに
お金を借りに行きました。そして、お金を返す日を決めました。お金を返す日が来た時、
ヤックワットポーは、約束通りお金を返しませんでした。ヤックワットジェーンは
待ったが、約束の日を数日過ぎたにも関わらず、ヤックワットポーは、知らない振りで
お金を返そうとしなかったので、ヤックワットジェーンは、決心して川を渡って
借金の催促に行きました。それでも、ヤックワットポーはお金を返さなかったので、
最後には喧嘩となりました。喧嘩をしたときに、周囲の木をなぎ倒したり、
踏み潰したりしました。というのも、2匹のヤックは身体が大きく力も強かった
からです。
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喧嘩が終わったときには、おわかりでしょう。周囲には何も無くなっていました。
そう、「ターテイアン」となりました。
プライスワン注7)が
このヤック2匹が喧嘩をし、周囲の人、動物、木々に迷惑を掛けたことを知ったとき、
大変お怒りになりました。それで、罪滅ぼしのため2匹のヤックを呪文で石に
しました。それぞれの寺ワットジェーンそしてワットポーの本堂の前で、
立って見張りを今に至るまでしているのです。
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